朝ぼらけ第79号 (平成13年5月1日)---大村公雄君投稿

  還暦修学旅行始末記

かんざし、京紅、水化粧。
だらりの帯に、おこぼの音を響かせた、優雅な舞は人生60年を生きた、辰巳会・会長、香月征男君の変身の姿。
 朝ぼらけ第77号(平成12年5月1日)で既報の「還暦修学旅行」は予定通り、20世紀最後の同窓会として卒業回と同じ11が並ぶ11月11日の京都観光が実現しました。
 福中福高同窓会長・小林彰先生と門田久人先生の二人の恩師を迎え、東西から集まった同窓生は総勢100人。
すっかり白くなった髪、地膚が底光りする貫禄十分の頭…卒業以来42年ぶりの再会は、その生きざまの違いはあっても、この日ばかりは、その表情も晴れやかで、懐かしさと嬉しさで溢れていました。
 三浦元君、藤野基太郎君ら関西地区諸氏の、再三の実地調査を含む、準備万端の、スケジュールに乗っての「修学旅行の実現」は、京都御所と北政所・ねねが開創した高台寺の拝観でスタート。
全館貸切の宿・アビカルイン京都で、まずは記念写真の撮影で参加者全員を記録に納めた後は、逝去した福高辰巳会同胞の冥福を祈って黙祷。
 活動報告・会計報告・母校関連報告・関東と関西地区の活動報告の公式議事をつつがなく終了して、いよいよ開宴。
恩師の小林先生からは「還暦を迎えるにあたって、目的意識を持った生き甲斐を」とのお話があり、門田先生からも丁重な祝辞を頂きました。満を持しての乾杯で、やっとビールにありついたのは、7時半をまわった頃。
喉を潤し、お腹を満たせば後は、お決まりの歓談…。
 福岡から同行の中国留学生石磊(せき・らい)氏の楊琴演奏や三昧の音をバック・ミュージックに、テーブルのあちこちで続く懐旧談は、枕を投げあった高校生に戻った姿でした。

 宴もたけなわのハイライトシーンは、山前久重君の「還暦修学旅行雑感」から引用することにします。
…突如として、真っ白に厚化粧し、真っ赤な口紅、頭には青色のさらし布で、首から上を全部巻き上げ、桃色長襦袢姿のお女郎ならぬ、おお女が白足袋に赤い鼻緒のぽっくり履いて、気持ちだけは楚々として現れた。その姿を見ただけで会場は、もう沸きに沸いて、やんやの大喝采。
三味線の伴奏で、おお女・舞妓さんの着付けが始まった。威風堂々たる体格の舞妓さんの胴回り、プロの着付師2人がかりでも、帯がなかなか締まらない。三味線伴奏が止めなく統くうちに、髪の髪飾りをつけて、やっと出来上がり。かねてから、舞妓さん?と名コンビの佐藤隆敏君の面目、可笑らしい迷?司会で、踊りの披露となった。
「♪月はおぼろに、東山?♪♪…」
舞妓さんは動くのも大儀そうで、ぽっくりの足元が今にも転びそう。三味線が一番を弾き終え、やれやれと踊りを終りかけたところに司会の佐藤君の「はい、二番行きます」舞妓さんは思わず大きな目玉をひん剥いている。
三味線が容赦なく鳴りだす。やんやの喝采。オチョボ口の舞妓さんは、止むなく大きな体と大きな手足で、また踊り始めた。懸命なお色気?たっぷりの所作が、なんとも可笑しい。
ようやく踊り終えて大喝采の中、舞台を降りた舞妓さんに、司会は各テーブルへのサービスを要請。舞妓衣装にぽっくりの足元、裾を摘み上げて歩く、その手がでっかい。爆笑のうちに各テーブルを巡回し、記念写真を撮り終えて漸く放免の沙汰となった。
香月会長の後日談は「癖になりそう」でした。

 旅の想出、人生の想出、高校生の頃、サラリーマン人生を終えての感想など、高校11回生の記録を満載すべく、福高辰巳会の文集作成作業は、今佳境に入っています。
私たちの熱い人生回顧の文集で、この夏を一層熱くするつもりです。乞うご期待!