アルゼンチン(ARGENTINA)

 2年前、ネパールでヒマラヤ山脈トレッキングをした際、その時履いていたコンバースをトレッキングガイドにダメ出しされ、半ば強制的に買わされたトレッキングシューズがあった。確かにそのシューズのお陰でトレッキングそのものは快適だったものの、シューズ自体は全然気に入ってなくて、日本に帰ったら二度と履くことはあるまいと思っていた。しかし、その後そのシューズはいつの間にか重宝される存在になり、旅行には欠かせないアイテムへと立身出世を遂げていたのだが、今回トラブルに見舞われることとなった。

 世界遺産イグアスの滝でボートクルーズをした後、移動のため公園内の列車に乗っていた時だった。右シューズつま先の裏側(クッション部分)が剥がれている!恐らくボートクルーズでびしょ濡れになった際に接着剤が効かなくなって剥がれたものと思われる。さすが安物!といったところだが、そのまま歩くとパコパコと擬音が鳴るし、歩きにくいことこの上ない。しかも、12日間の旅のまだ3日目のことで、これからも広大なアルゼンチンの大地を忙しく動き回らないといけないため、補修をすることにした。

 でも、どうやって?接着剤を使うというのが現実的な選択肢ではあるものの、スペイン語で接着剤を何というのかが分からない。そこで代用品として頭に浮かんだのがガムである。キオスクで購入し、特に噛みたくもないガムを噛んで、カスを本体とクッションの間に挿入すると取りあえずくっ付いてくれたため、安上がりで補修出来たわいと非常に満足した。4日目は国境を越えてブラジルのフォス・ド・イグアスという街へ移動。本当はブラジル側からイグアスの滝に行くつもりだったが、時間的な余裕がなくシューズの不安もあったので、結局街中をブラブラすることに。すると今度は踵の部分が剥がれてきた。再びガムを噛んで、今度は踵部分を補修した。

 5日目、アルゼンチンというより世界の最南端の街ウシュアイアに移動、ここまで何とか耐え忍んできたシューズだったがここで遂に力尽きることとなった。ホテルが全然空いていなくて街中を彷徨う羽目になったのだが、雨が降っていたためにガムの粘着力があっという間に効果を失い、底がゴッソリと剥がれ落ちてしまった。ホテルは見つからない。雨には晒される。普通に歩くと底が剥がれてしまうので、足を引き摺るように歩かないといけない。この上なく惨めな気分になり、ここで遂にギブアップ。スポーツ用品店があったので、そこでシューズを買い換えることにした。

 韓国で生まれ(MADE IN KOREA)、ネパールに輸出され、日本人に買われて日本に連れて行かれ、その後北朝鮮にも渡航するという数奇な運命を辿ったシューズは、最後は日本の裏側のアルゼンチンに移動し、世界最南端の街ウシュアイアのゴミ箱に捨てられてしまいましたとさ。



*再三の補修も実らずゴミ箱行き10分前のシューズ、ガムの残骸が痛々しい・・・。


*ジャングルの中にあるイグアスの滝群。


*前方にあるのがボートクルーズで突入した滝。


*イグアスの滝のメインイベントともいえる通称「悪魔の喉笛」、フレームに収まらない・・・。


*世界最南端の街ウシュアイアでビーグル海峡をクルーズ、ギョッとするほどの海鳥の大群。


*同じくビーグルクルーズ、ペンギンご一行様。


*青白く光る氷河の氷。


*ペリトモレノ氷河、分かりづらいが氷河が崩落し水面に水飛沫があがった瞬間。


*ブエノスアイレスの街並、南米のパリという形容もうなづける。


*ブエノスアイレスの地下鉄、実は丸の内線のお下がりなのデス。


*アルゼンチンといえばタンゴ、実にエロいダンスでした。


*人気サッカーチーム・ボカジュニアーズのスタジアム、正直ボロいが味がある。
  最前列がグラウンドと同じ高さで試合の時の熱狂振りが想像できますね。




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