北朝鮮(NORTH KOREA)
アリラン祭が行われるメーデースタジアムに到着。入場まで少し時間があるとのことで自由時間となった。見るとスタジアムの周りに出店が並んでいたので、パンフレットやTシャツ等のグッズを売っていないかと相方のO氏と一緒に行ってみる。しかし、店は全て食べ物関係の屋台だったので諦めて集合場所に戻ろうとしたその時であった。
「☆◇*@#!」何か声がしたので振り返ると、人民服を着たおっさんが二人こちらに詰問口調で何か言っている。当然言葉は分からないので無視して行こうとすると再び呼び止められた。仕方ないので立ち止まって応対するが、何を言っているか分かるハズもない。「ただの旅行者だ」「ただ歩いてるだけだ」と英語で説明するも通じない。するとおっさんの一人がO氏の腕を掴み、何すんだよ!という感じでO氏が振り解こうとしたところで制服を着た公安警察が現れた。
再びラチの開かないやり取りが続いたが、正直ヤバイ雰囲気である。アウェイだし言葉は通じない。ここで連行されようものなら一巻の終わりである。とにかくガイドのところに行かなければと、指を差してアチラの方にガイドがいるからと公安警察一人とおっさん二人の計三人をなだめたりすかしたりしながら連れて行った。ここでいきなり走り出したらやっぱり撃たれるんやろか?と思いながら。。。気の短そうな人民服のおっさんの一人が、どこまで行くんだこの野郎!みたいな感じの言葉を発しているようだが、確かに集合場所までの距離が妙に長く感じられた。
ようやく集合場所に到着。ガイドを見つけて事情を説明、これで助かったとホッとする。その後、ガイドと公安警察&おっさんが暫く話していて、我々は隣で待っているとガイドが自分とO氏を咎め出した。
ガイド「そういう時は立ち止まってちゃんと応対して下さい!」
ラ&O「だって言葉分からないじゃないですか。」
ガイド「言葉はわからなくても!まずは応対して下さいよ。」
ラ&O「・・・?」
ガイド「この人達が言うには、アナタ達は逃げようとしたそうじゃないですか!」
ラ&O「・・・?制服着てないし何者か分からないじゃないですか。」
ガイド「こういう場所には変な人はいませんから、まずは立ち止まってきちんと応対すれば大丈夫ですから!」
ただ歩いているだけの外国人に因縁つけるように話してくること自体十分変な人だろーがよー!アァ!?と思ったが、ここに戻ってこれた時点で確実に助かったワケだし、北朝鮮ならではの洗礼を受け、良い土産話が出来たワイとこの時点では実は楽しんでいた。
*会場となったメーデースタジアム、ここに入場する前に逮捕劇が。。。
集合時間になり、席別にチケットを渡されるとガイドに誘導されスタジアムに入場した。自分達の席はB席。ちなみに席の種別は4つあり、S席4万2千円、A席2万4千円、B席1万6千円、一般席7千円となっている。面白いのは一番安い席が最前列ということ。マスゲームは後ろで全体を見渡せるほうが良席なのである。見ると一般席に多くの平壌市民がいるようだが、いかに恵まれた平壌市民といえども7千円は大金だ。恐らくローカルプライスで入場しているのであろう。
今回のアリラン祭(マスゲーム)は、祖国光複60周年記念日の8/15から朝鮮労働党創設60周年記念日の10/10(二週間程度延長されたそうだが)まで日曜を除いて毎日行われている。参加人数は何と10万人、約1時間半に渡って行われるスケールのデカイ一大イベントである。15万人収容といわれているメーデースタジアムは、メインスタンド側が客席で、その反対側は人文字を作る学生達で埋め尽くされている。20時開始予定だがその前にウォーミングアップとばかりに掛け声を挙げながら文字を次々と描き出しているがこれが凄まじい。期待が一層高まった。
*何とも幻想的な光景
そしていよいよマスゲームが始まった。フィールド全体を使って踊りが行われ、その内容に合わせてバックの人文字が変化していく。曲数は十数曲あってスローな曲、アップテンポな曲、悲しい曲、勇壮な曲といった感じでバラエティに富んでおり、演者も子供や軍人や体操選手等もいるし、踊りについても伝統的な踊りもあればサーカスや組体操、新体操といったものも取り入れている。とにかく、北朝鮮の全て集結させたものだといえるだろう。豪華、華麗、優雅、優美、壮麗、壮観といった様々な褒め言葉があるが、そういったものを全て詰め込んだものがマスゲームだと感じた。結局一言で表そうとするなら「凄い」という陳腐な単語に落ち着いてしまうのだが、本当に凄いのだから仕方がないのである。
時間を忘れるほどアッという間にマスゲームは進み、終盤クライマックスとなったのが、フィールドの左右(つまり南北)に分かれて踊っていたダンサーがサッと中央に集まり、朝鮮半島を作り出したシーン。ご丁寧に済州島まで表現されていた。竹島があったかどうかまでは確認できなかったが、それはさて置き感動的なシーンであり、スタンドからも一層のどよめきと歓声があがっていた。最後は統一朝鮮半島を赤く塗り上げた、巨大な地球儀が現れ、感動のフィナーレとなった。
このマスゲームについては色々な意見がある。以前招待されたアメリカのオルブライトは唖然とし「壮観で驚くべきものだった」と記者団にコメントし、後にマスコミに叩かれたらしい。一糸乱れぬ動きが気持ち悪いという意見もあるし、お金のかからない金儲けという話もあるし、操り人形だとか独裁の象徴だとか10万人の人間が無理矢理やらされているという批判もある。統一をアピールしていたが、ただのポーズではないかとも言われている。同意する部分もなくはないが、そういった社会的、政治的背景を取っ払って芸術としてレベルが高かったし兎に角楽しむことが出来て個人的には大満足であった。
ちなみに今回のアリラン祭はかなり儲かったらしく、それに味をしめたのか来年も開催することが決まったらしい。今回10月から受け入れ始めた韓国からの観光客が随分好調で、それを受けてのものらしい。ただ、来年は開催する大義名分がないし、数年に一度という希少性を維持したほうがいいと思うのだが、稼げる時に稼いでおく、なりふり構っていられない苦しさの表れなのだろうと考えるのは意地悪な見方だろうか?まあとにかく、世界でここでしか見れないものを見れて本当に良かったと思っている。
*エリートの子供達による演技
*軍人による勇ましい演技
*思わず「出た〜!」と口走ってしまったシーン
*ステージが登場してその上では男女による踊りが
*統一朝鮮半島を作り出したクライマックス
*フィナーレ、統一朝鮮半島が赤く塗られております