COLUMN | ||
白魚(しらうお) | ||
2002.3.15 |
||
|
||
小さな魚。この魚、全身が透きとおっていてかなり元気。大きさはメダカよりひとまわり小さい4センチ弱。これを生で食す。『踊り喰い』という。 春になるとお花見に行くが、外は寒い。そんなとき川原の小料理屋や料亭でぬくぬくと春を祝う。花見の時期より期間も長く、時間も仕事が終わって行ける気楽さがある。それでも接待や祝い事のときが多いだろうか。 この時期、博多の料亭に行くと前菜にこれが出ることもある。 そうめんを食する時に用いるようなガラスの器に無数の彼らがぐんぐん泳いで、ざるで追い掛け回す。酢と鶉の卵の黄身を入れた小鉢に入れると威勢の良いものは飛び出すほどの勢い。それをつるんと飲む。喰うというより飲む。いったい誰が考えたのだろうか。 味などしない。雰囲気でしかない。だから美味しくもなんともない。風情や季節感を感じるものだろう。 僕は、花見が苦手だ。春とはいえまだ肌寒い季節に外で酒を飲む。花見だからといって飲む必要はないのだろうが、どうしてもそうなってしまう。陽気に暴れて毎年のように事件が起きる。花見が原因で結婚したものもいた。 僕にとって、そんな花見を避けるための逃げ口が白魚だった。寒いから屋内で暖かく飲もうとか、ちょっと花が散ったから白魚とか何パターンかある。もちろん忘れたふりをして花見自体自分からは絶対に口にしない。 何はともあれ春がきた。桜は蕾だが、菜の花は咲いている。今年は、なおっちの由来でもあるたくさんの菜の花を観にでかけたい。 |
||
|
||
© 2002 Techie & K |